これも姫様のため


忠誠のカタチ


それは、姫がお忍びで地方領の離宮に逗留しているときに起こった。
野生のものが暴走したのか、敵国の謀略か、宮殿内に魔物が侵入したのだ。
公の旅ではないため、姫の周囲を固める側仕えも護衛も、ごく少数しかいなかった。
こうなっては多勢に無勢。彼らは組織的な抵抗も出来ず、宮殿の奥へと追い詰められていく。
姫は離宮の最奥の部屋の隅にうずくまっていた。周囲には数名の侍女と、姫付きの宮廷魔術師、それに近衛騎士が三人。
宮廷魔術師は、おびえて寄り添っている姫と侍女たちの傍らに立って、敵の目かを欺く結界呪文をかけた。所詮は時間稼ぎの気休め にしかならないのだが、無いよりは多少とてましだ。
扉の外の廊下からは、ずるずると言う異音が近づいてくる。魔物が這い寄っている音だ。
「来るぞ! なんとしても我々で食い止めるんだ!」
騎士のリーダー格の者が叫んだ。他の二人の顔にも緊張が走る。
魔物の蠢きが扉の前で止まった。だれもが扉に意識を集中させたその刹那。
突如床を破って、無数の触手が部屋の中に飛び出してきた。
魔物は、触手を地中に這わせ、姫たちの一行を奇襲したのだ。
予想外の場所からの突然の襲撃に、騎士達の隊形が乱れてしまう。
こうなってはもはや主導権は魔物のものだ。
護衛の騎士達は、個々に魔物と戦う羽目になり、次々に深手を負わされ戦闘不能になってしまった。

「うわぁっ!」
部屋の中に、女性の悲鳴が響く。
最後に残った近衛騎士。紅一点だった女騎士の悲鳴だ。
魔物は勝利を確信したのか、彼女を即座に痛めつけようとはせず、無数の触手を彼女の体に這わせ、その動きを拘束しようとしてい た。
「くっ・・・くるな・・・くるなぁ!」
持っていた剣を振り回し、何とか魔物から逃れようとする女騎士。だが襲い来る触手の数はあまりにも多く、たちまち剣はむしりと られて、彼女は無数の触手に巻きつかれてしまう。
魔物は触手を器用に彼女の鎧の中へと侵入させ、彼女の肌を這い回る。
「ひぃっ・・・や・・やめてぇ・・・!」
彼女のひきつった悲鳴が上がる。
バキッと音を立て、プレートは引き剥がされる。その下のチェインメイルもちぎれ、鎧下も、タイツも、下着もびりびりに破られて いく。白磁の柔肌は、外気にさらされる間もなく巻きつく触手に覆い尽くされていく。
そして、彼女の女性としての大切な場所にも、太い触手が情け容赦なく差し込まれる。
「あがっ・・・ひっ・・・か・・かはっ・・・く・・・苦し・・・い・・・」
女騎士の苦痛に満ちた切ない悲鳴が部屋の中に響いている。

女騎士が魔物に陵辱されていく様を、姫は嫌が応にも見せ付けられていた。
彼女は姫付きの近衛騎士になってそれなに長い。
生真面目で実直。だが女性ならではの細やかな気配りもできる人物だ。数少ない女性騎士ということもあって、姫もなにかと気にか けている。
そんな女騎士が、目の前で辱められ、苦しんでいる。それは姫にとっては耐えがたい状況だった。
姫は護身用に持っていた短剣を握り締め、思わず立ち上がって、魔物に挑もうとした。
女騎士を助けなければ。そう思ってのとっさの行動だった。
だがそれを、宮廷魔術師が押し留める。
「姫、今結界の外に出てはなりません。魔物の餌食となるばかりです」
「は、放しなさい! 彼女があのような危機にあるときに、主人たるわたくしがただ震えているわけには行きません!」
「かといって、いま姫が魔物に戦いを挑んでも、勝ち目がありましょうや? それは勇気ある行動ではありません。ただの蛮勇です 」
「し・・・しかし・・・」
姫の顔が無念そうにゆがむ。

「姫、お辛いご心中お察しいたしますが、どうかここは堪えてください。いま、私の部下が宮殿の別の場所で大規模魔法の準備をす すめております。それが完成すれば、魔物を浄化できます」
宮廷魔術師は諭すように続ける。
「いま魔物は、彼女に興味を示し、我々を見つけられないでいます。あの女騎士は、姫をお守りするという、自らの仕事を果たして いるのです。彼女のためにも、どうかここはご辛抱なさってください」
姫はうつむき、今しも泣き出しそうな表情で唇をかみしめていたが、
「・・・わ・・・わかりました・・・」
しぼりだすように小さく呟くと、女騎士の悲鳴を聞かないためであろう、自らの両耳をほっそりした手でふさぎ、目をきゅっと閉じ 、身を硬くしてそのまま宮廷魔術師の側に座り込んだ。
かくして姫は、大魔法が完成し、女騎士が魔物から開放されるまで、おぞましい光景に耐えつづけなくてはならなかったのである。




というわけで、ちょうお久しぶりのオリジナル絵です。
趣味マックスの女騎士さん。
女騎士は良いですね。重厚な鎧、凛々しい性格、かっこいい外見

女騎士さんさえあればゴハン何杯でも食べられます。
今回の自分的ツボどころはチェインメイルのミニスカート。
なんか良いですよね、ミニチェイン。実用性はさておくとして。
この女騎士さんは、個人的にいろいろ設定があったりして思い入れはあるので、また描いてあげたいです。
あと、姫様も描いてあげたいです。