かくて運命の環は回る


かくて運命の環は回る

それは湖のほとりにあった。湖畔の古い塚にあった。 暗黒時代の聖遺物。 計り知れぬ力を秘めたる、まこと不思議な造形物。 その聖遺物が、何者かの手によって持ち去られたとき、 偶然か、はたまた見えざる意志の力によるものか、 四人の男女が湖畔に集った。 その男は騎士。 滅んだ西の小国の騎士。 守るべき者を眼前で失い、自責の念を胸に秘めるもの。 彼は聖遺物に力を求めた。 負けないために。もう何者も失わないために。 その女は神官戦士。 澄み渡る心を鎧に包む、猛き孤高の戦士。 生まれいでし時より神の恩寵をうけ、その身に神聖な力を宿すもの。 彼女は聖遺物の封印を求めた。 神の声を、神の警鐘を無駄にしないため。 その男はドワーフ。 北の山岳に住む、老練な細工師。 愛する妻を、何者かによって連れ去られたもの。 彼は聖遺物に道標を求めた。 最愛の者を取り戻すための、進むべき道を求めた。 その女は魔導師。 海の向こうの、異人の国より来た魔導師。 世の理を見極めるため、平和の都を後にしたもの。 彼女は聖遺物に真理を求めた。 失われた時代の理を知り、今を生きる者たちの、未来を照らす光とするため。 彼らの旅は始まった。 目的は一つ。聖遺物の奪回。 だが、その先にあるものは果たして何か。 力。真理。道標。封印。 かくて運命の環は回る。